○石井英夫1・Stammler, G.2・田代暢哉3
国内産タマネギべと病菌及びレタスべと病菌からのCesA3遺伝子の検出とシークエンス解析
Ishii, H., Stammler, G. and Tashiro, N.: Detection and sequence analysis of CesA3 genes from onion and lettuce downy mildew pathogens in Japan.
タマネギやレタスのべと病防除に使用されるCAA系薬剤には耐性菌管理が必要であるが,絶対寄生菌であるべと病菌では薬剤感受性モニタリングに困難を伴う.そこで,感受性検定の遺伝子診断法を検討した.国内で採集した罹病葉からSigma REDExtract-N-AmpTM Plant PCR Kitを用いてべと病菌の全DNAを抽出後,CAA系薬剤の作用点たんぱく質をコードするCesA3遺伝子のPCR増幅を試みた.タマネギべと病菌にはプライマーKES2089とKES2090 (Stammler, unpublished),レタスべと病菌にはBlCesA3fwとBlCesA3rev (Rubin et al., 2011)をそれぞれ用いることにより至適サイズのDNA断片が得られ,ダイレクトシークエンシングとBLAST検索によりPCR産物がCesA3遺伝子であることを確認した.このCesA3の塩基配列と推定アミノ酸配列はともに野生型を示し,他の病原菌でCAA系薬剤耐性の原因とされる変異は見られなかった.これはPCR産物の一部を制限酵素AluⅠで処理したRFLP解析の結果とも一致したことから,供試したべと病菌はCAA系薬剤に感受性と考えられた.
(1吉備国際大・2BASF・3佐賀上場営農セ)