令和元年7月25日(木)に第7回植物保護シンポジウムが吉備国際大学の南あわじ志知キャンパスで開催しました。淡路島内の農家、JAあわじ島の関係者、南あわじ市、兵庫県の試験研究機関及び農業改良普及センターなどに加えて、県外の公設機関や農薬メーカーなどから合計54名が参加されました。

 

 

 

 

本学の眞山滋志学長による「私立大学研究ブランディング事業の推進」の講演から始まり、特別講演として、岡山県農林水産総合センター生物科学研究所の白石友紀所長から「今後の植物保護の方向性」についてご講演がありました。共生ネットワークの重要性、さらに有用な微生物及び代謝産物の利用のお話がありました。
今回のトピックスは、生産者の強い要望から雑草防除に焦点を合わせてみました。本学非常勤講師の須藤健一先生から「淡路の雑草防除について」と題し、アゼガヤ、カラクサナズナ及びナルトサワギクを中心とした雑草の生態と防除方法についてのお話がありました。日本植物調節剤研究協会の濱村謙史朗先生からは「除草剤の種類と上手な使い方」と題してご講演がありました。日本植物調節剤研究協会の役割についてご紹介いただき、引き続き雑草防除・除草剤の基本から、詳しい使用方法のお話がありました。
続いて、南淡路農業改良普及センターの有本律子普及主査からは、「令和元年産タマネギの病害虫発生状況」についてご説明がありました。べと病、細菌性病害及び灰色腐敗病の発生は平年以下であったことが報告されました。
JAあわじ島営農部の柏木賢治部長からは「南あわじ特産野菜生産の現状と課題」と題して、レタスビッグベイン病の発生の現状と耐病性品種や薬剤、太陽熱消毒、カラシナの栽培などを組み合わせた総合的な対策のご紹介がありました。また、タマネギべと病や細菌病の発生と対策、とくに気象観測ロボットを試験的に導入し、その結果を紹介していただきました。
兵庫県立農林水産技術総合センターの神頭武嗣部長から「病害虫高度診断・防除研究拠点について」と題して、5月から新しく開設された病害虫診断拠点の機能、役割などについてお話しをいただきました。
引き続き、植物クリニックセンターの最近の活動について、本学の相野公孝教授から現時点までの病害の診断状況を報告、また、地域との連携及び人材の育成について、本年度計画を発表しました。
同じく村上二朗准教授から「イネ、コムギ、トウモロコシから分離した赤かび病菌について」その研究成果を発表しました。発表の中で村上准教授は、「圃場で栽培したイネ、コムギ、トウモロコシからフザリウム菌が高頻度で分離され、マイコトキシンを生産する菌も存在することが明らかとなりました。これは多くの学生と一緒に取り組んだ結果です。今後の成果に期待していただければと思います。」と述べました。
今回も全体を通じて、講演後には活発な質疑応答があり、予定の時間だけでは足りないほどでした。
本学といたしましては、本シンポウムが淡路地域の農業の発展に貢献出来ればと願っており、シンポジウムの共催や後援でご協力いただいた講師の方々、南あわじ市、JAあわじ島、兵庫県淡路県民局、そして植物防疫全国協議会の皆様には、感謝申し上げます。