○中尾茂夫・石井英夫

ナシ黒星病に対するアシベンゾラルSメチルの防除効果
Nakao, S. and Ishii, H.: Control efficacy of the resistance inducer acibenzolar S methyl against Japanese pear scab.

ナシ黒星病の防除は,卓効を示す薬剤が普及するたびに耐性菌の問題を生じてきた.これに対して石井ら(2003他)は,抵抗性誘導剤アシベンゾラルSメチルの有用性を示唆してきた.そこで,本剤(国内未登録)の防除効果を2カ年にわたり現地の圃場で検討した.2016年10~11月の‘新高’ナシ収穫後の3回散布では,対照のイミノクタジンアルベシル酸塩40%水和剤1,000倍の防除価53.3に対してアシベンゾラルSメチル50%顆粒水和剤5,000倍は防除価90.2を示した.2017年5~6月の‘幸水’,‘豊水’の生育初期10,000倍6回散布では,対照薬剤の75.0に対し96.4の防除価,2017年10~11月の‘新高’収穫後の10,000倍4回散布では対照薬剤の93.0に対し81.8の防除価であった.薬害は,収穫後散布ではみられなかったが,生育初期の初回散布で葉縁の縮れや軽微な葉の波打ち症状がみられた.以上の結果,本剤はナシ黒星病に防除効果が高く,特に収穫後の5,000倍散布で実用性が高いと判断された.

前JA大分ひた・吉備国際大)