田中 茂1・○今元一海2・石井英夫2
チュウゴクナシ品種‘黄花梨’は黒星病に対する有用な抵抗性遺伝資源である
Tanaka, S., Imamoto, K. and Ishii, H.: The Chinese pear cultivar ‘Huanghua’ is a useful resource for scab resistance breeding.
殺菌剤に大きく依存するナシ黒星病の防除に抵抗性品種の導入が期待される.ニ ホンナシ品種‘あきづき’とチュウゴクナシ品種‘黄花梨’の交配により育成した‘あきひめ’と‘里水’が黒星病と黒斑病に高度複合抵抗性であることを先に報告した(石井・田中,2015).今回さらに,同じ交配組み合わせによる育成品種‘秋のほほえみ’ と‘秋ゴールド’,交配親2品種,罹病性品種‘幸水’を供試して黒星病抵抗性を検定した.2016年と2017年,鉢植えにした接木苗に‘幸水’の自然病斑から採取した黒星病菌の分生子懸濁液を噴霧接種した.1ヵ月後の発病調査において,‘秋のほほえみ’の平均発病葉率は15.8%, ‘秋ゴールド’は27.4%で,‘幸水’の84.3%や‘あきづき’の40.4%よりも低かった.一方,‘黄花梨’には2回の接種試験で全く発病は見られなかった.以上のことから,‘あきひめ’,‘里水’,‘秋のほほえみ’と‘秋ゴールド’(すべて品種登録済み)の交配親である‘黄花梨’は黒星病抵抗性の有用な遺伝資源と考えられる.
(1梨の田中園・2吉備国際大)